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【ロングレビュー】マンガ『バレエ星』(谷ゆき子)/バレエの稽古で滝行!? ありえない超展開でも、読めば一気に谷ワールドに引きこまれてしまう幻のバレエマンガが、50年の時を経て完全復刻!!

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話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
※2017年の記事を編集し、再公開しています

今回紹介するのは『バレエ星』

『バレエ星』復刊に携わった担当編集の方から、コメントをいただきました!

担当編集

びっくりするくらい美しい絵と、びっくりしすぎてしまう超展開。この2つの組みあわせが、奇跡的なおもしろさに昇華しているところが、谷ゆき子作品の魅力です。
当時を知る人には懐かしく、知らない人はあまりのすごさに虜になってしまう「超展開バレエマンガ」、ぜひあなたも体験してみてください。

『バレエ星』
谷ゆき子 立東舎 
(2017年10月20日発売)

オデット姫の衣装に身を包んだ少女の、ぱっちりと見開いた大きな瞳からこぼれ落ちる涙……。
こうしたたたずまいに懐かしさを覚える人も、直撃世代ではない人も、少女マンガの王道的カタルシスに心震えずにはいられない。すべてを物語る表紙のイラストレーションにピンと来て、衝動買いした方も多いのではないだろうか。
『バレエ星』は1969(昭和44)年に『小学一年生』で連載開始、読者とともに学年をまたぐかたちで継続し、1971(昭和46)年の『小学四年生』で完結をみた作品。その全編を収録したのが本作なのである。
谷ゆき子は1960年代後半から約10年にわたり、小学館の学年誌で多数のバレエマンガを発表し、人気を誇った作家である。だが、当時はいっさい単行本化されておらず、長きにわたり「幻の作家」として語り継がれてきた。
当時、一度でも谷ゆき子の作品を読んだことのある人ならば、忘れようがないだろう。印象的な瞳、少女の憧れをかきたてる美しいバレエのポーズ、細部まで描きこまれたハイセンスなファッション。絵の魅力もずば抜けているが、なんといってもすごいのはジェットコースター級のストーリー運びなのである。

滝行の最中、いじわるなあざみさんの投げた石のせいで大きな岩が。こんなハラハラドキドキの連続で、700ページ超も一気読みしてしまう!

『バレエ星』は、病気によってバレリーナの道を断たれた母の遺志を継ぎ、ヒロイン・かすみちゃんが母の悲願であったオリジナル作品「バレエ星」の完成を目指す物語だ。

たったひとりでさまよい歩き、岩穴の中で眠ってしまったかすみちゃんの夢の中に懐かしいママが現れる場面。
しなやかなバレエのポーズにも魅了される。

肉親との別れやすれ違い、ライバルのいじめくらいでは驚きやしないが、次々にたたみかけるピンチのダイナミックさの衝撃度は前人未踏の領域だ。未読の方の楽しみを奪いたくないので最小限のキーワードを列挙するにとどめるが、バレエマンガなのに滝行!? 目が見えないのに吊り橋を!? 野犬は出るわ、ヘリコプターは出るはダイナマイトは出るわ……。

『バレエ星』刊行の追い風となったのは、昨年(2016年)に刊行された『超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界』である。よく考えたら一冊も単行本が出ていない作家のガイドブックが出るのも珍しい話で、この英断には頭が下がる。
谷ゆき子のマンガに「超展開」という言葉をさずけた編集者のセンスはすばらしい。バレエマンガとして「ありえな〜い」といったらそれまでなのだが、ストーリーの常識を軽々踏み越えて、読者に感情移入させる……「前へ前へと進む力」が勝っているからこそ、本作は今再び拍手をもって迎えられているのだろう。

かすみちゃんの才能に嫉妬し、あの手この手で意地悪をするあざみさん。
当時の読者からすれば憎まれ役以外の何者でもないが、ときにコミカルな表情も見せるなかなか味わい深いキャラクターだ。

原画が紛失しているため、本書では掲載時の雑誌からの復刻を行っている。柱や雑誌の記事ページで、当時の読者たちがヒロインに実在の友だちを想うように寄せた言葉に触れられるのも趣深い。
さらなる谷ゆき子作品の刊行を切に願う!

<文・粟生こずえ>

雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。

ブログ「ド少女文庫」

※本記事は2017年12月19日に公開されたものを編集し、再公開しています


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