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マンガ『僕と君の大切な話』(ろびこ)ロングレビュー! 異性が苦手な2人によるシュールな男女あるあるキャッチボール。「会話」が2人の距離を縮める……のか?

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話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも! ※2016年の記事を編集し、再公開しています。

今回紹介するのは『僕と君の大切な話』

『僕と君の大切な話』著者のろびこ先生から、コメントをいただきました!

著者:ろびこ

『僕と君の大切な話』を取り上げて
いただきありがとうございます。
『となりの怪物くん』とはまた違ったテンポで、
気楽に楽しんでいただけたらいいなと思います。
これからも精一杯がんばりますので、
どうぞよろしくお願いいたします!

単行本は全7巻。

『僕と君の大切な話』第1巻
ろびこ 講談社 
(2016年3月11日発売)

駅のホームで行きかう電車をながめながら、「どうして男は戦いが好きなの?」と(弟のマンガを読んで)問う女と、「(少女マンガは)古今東西 男女の色恋沙汰だ」と切り捨てる男。

上記のやり取りは、『このマンガがすごい!2010』本誌にてオンナ編第5位を獲得している極上の少女マンガ『となりの怪物くん』の作者・ろびこ先生によるものだ。
「デザート」での新連載作の出だしから、そんなことを言わせていいんですか!?

 

物議を醸しそうなこの会話は、なんと平和台高校の相沢のぞみが同学年で別クラスの東司朗(あずま・しろう)へ告白するための糸口だったのだ。

しかも、その恋の行方は意外な方向へ。
男性に不慣れな相沢さんは、学内でなかなか話しかけられず、東くんの持ち物をひそかにキープして、彼の行動を尾行し逐一チェックするストーカー体質だ。
東くんは王道のツンデレ系メガネ男子で、相沢さんの告白に対してまわりくどい(しかも少々オタクっぽい)たとえでダメ出しする。とはいえ完全な拒否ではなく、友だちから始めようとする、が……?

いったん距離を置いた相沢さんに近づく東くんに真意を問うと、哲学的な答えが。こんなメガネ男子と語りたい!

不思議なつながりが生まれた、2人の会話がおもしろい。
冒頭と同じく男女の差が話題の中心となり、東くんの女性への少々被害妄想気味な偏見には、男性ならば同意する点も少なくないのではないか。
それに対し、女の子が男の子に何を望むか言語化して解きほぐす相沢さんとのキャッチボールは、お互いにしっかり受け止めたり適当に転がしたりと気持ちいい。語りあって仲良くなっていくものの、最後にはなぜか強烈なオチがついて大笑いしてしまう。

話数が進んでも、はなやかなデートスポットではなく、2人はあいかわらず、なぜか駅のホームで会話をしている。
東くんの友だちである、彼女持ちのカフェイン君の恋愛相談も、「ミスター平和台」と呼ばれるモテ男・環君の人生相談も、やっぱりここで行われるのだ。単調になりかねないはずが、そう感じさせない。登場人物の微妙な表情の巧みさや、背景のポップな描きこみぶりなど、マンガ構成の巧みさゆえだろう。

2人ともおつきあい経験なし・異性が苦手だが、主張を一歩も譲らず!
誤った先入観もおおいにあるが、うなずける部分もあり?

高校生たちの理想とされる「リア充」のような表面的なつきあい方は、意外に疲れる。共感だけの女子会の不毛さにも、敏感な少女なら勘づいている。
煙たがられそうな真っ向からの議論を、スマホ上ではなく顔を突きあわせてとことん深く掘り下げてみたい。異色な作品が誕生したのは、今、そんな欲求がみんなのなかにひそかにわいているからではないか。

それでいて女の子が「キュン」とする要素もバッチリ。
東くんの根がマジメで素直な心と、相沢さんの相手を知りたいという女の子らしい気持ちが重なりあう瞬間、ふいにときめきが生まれる。

相沢さんに女の子のほめ方をレクチャーされ、実践してみた東くんから、こんなセリフが!
ドキッ……片思いじゃないのかも!?

不器用な恋と青春を描いた『となりの怪物くん』とは違うテイストのコミカルな作品ながら、人と人がわかりあうことの難しさを少女マンガの枠内で表現しているのは、やっぱりろびこ先生!と喝采したくなる。

続く次巻は、学校生活編とのこと。東くんはじつは顔立ちが整っており、相沢さんも美人で憧れの的らしい。そんな2人が一緒にいては、まわりは放ってはおけないのでは?

この一風変わった「トーキングコメディ」がどう転がるのか、電車の音も外野の声も含めて、耳を傾けておきたい。




<文・和智永 妙>

「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。

 


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