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【インタビュー】『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』はみ先生 「漫画家になりたかったけど、将来の夢・バレーボール選手って答えてた」

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コミック版『響け!ユーフォニアム』単行本第1巻、第2巻重版記念スペシャルインタビュー! 今回は、コミカライズを担当されているはみ先生がいかに漫画家を目指したのか、どんな作品に影響を受けたのかを直撃! どんな名作マンガが飛び出すかと思いきや、出てくるのはゲームやアニメのタイトルばかり!? そして同じ原作小説をマンガとして表現しているはみ先生の瞳には、クライマックス直前のTVアニメ『響け!ユーフォニアム』はどのように映るのか? お話をうかがった。 ※2015年の記事を編集し、再公開しています

【インタビュー】『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』はみ先生 「コミカライズの話、絶対釣りだと思ってた!」

はみ

北の大地在住。
セーラー服がたくさん描けてうれしくてしょうがないクラゲ。
地球のまわりをめぐる星の化身の少女たちをやさしく描いた『少女サテライト』(芳文社)全2巻、好評発売中。

公式サイト:musica
Twitter:@hami_mi

ずっと隠していた漫画家という夢

――そもそもマンガを描きはじめたきっかけというのは。

はみ いつからでしょう……。気がついたら描いてました。もー『ドラえもん』とか、すごい大好きだったので。

おなじみの絵描き歌でだれもが一度は、ドラちゃんの似顔絵を描いたはず。そこから数多の漫画家が生まれたのだ!

――「漫画家になろう」と具体的に意識したのは。

はみ 子どもの頃から、ぼんやりと漫画家なりたいとは思っていたのですが、どうしたらいいんだろうって。あとわたし、「漫画家になりたい」って言うのが恥ずかしくって。

――ではひとりこっそりと決意を胸に秘めていた感じですか。

はみ 子どもの頃って「将来の夢」を聞かれたりするじゃないですか。そういう時は、バレーボールの選手になりたいって答えてました。

――バレーボールの選手!? なぜ!?

はみ 夢のある子どもを装いつつ、本心は言いたくないっていう。とりあえずスポーツ選手って言っとけみたいな。

――それはいつぐらいの時ですか?

はみ 小学校低学年くらいの時ですかね。「漫画家になる」っていうのが恥ずかしいんじゃなくて、本当は「何になりたい」とか人に言うこと自体がいやだったんです。

――将来の夢は言いたくない。そう思いながらも、どうしても聞かれることがあるから、その時は「バレーボールの選手」と答えるようにしようと。

はみ こっそりとなれたらいいなって。なので中学、高校になると、将来のことは、だれにも言わなくなりましたね。

――『ドラえもん』が好きで、自然とマンガやイラストを描いていたということですが、成長するにしたがって、多くの作品にふれることになると思うのですが、強く影響を受けた作品などは。

はみ なんだろう……友だちの持ってきた「ガンガン」に載っていた、『魔法陣グルグル』を読んで、わーこんなマンガももあるだーってなり。

衛藤ヒロユキによる90年代を代表する傑作ギャグファンタジー。あの時、少年だったのならば、一度はキタキタ踊りを踊ったはず。

――マンガ=『ドラえもん』みたいなところから、『グルグル』は衝撃を覚えますよね。いっきに世界が広がったんじゃないでしょうか。

はみ ただそのあと、マンガを読むのがわりと恥ずかしいみたいなふうになってしまって。自分では絵を描いたりしていたんですけど、しばらくずっとゲームばっかりやってて。なので影響っていうとゲームと、あとアニメの方が大きいですね。

90年代のスクウェア、ヤバい

――どんなゲームがお好きなんですか。

はみ 『テイルズ』シリーズとか。あとスクウェア作品。

――『ファイナルファンタジー』シリーズや『ドラゴンクエスト』シリーズですか。

はみ エニックスといっしょになる前のスクウェアですね。『FF6』や『クロノトリガー』、『ゼノギアス』なんかの頃の。

――『サガ』や『聖剣伝説』などは。

はみ 『サガ』大好きです!

――『サガ』好きは、業が深いというか、どっぷりとはまる人が多いですよね。

はみ わたし、『犬マユゲでいこう』が大好きなんですけど、そのなかで「『サガ』好きは、「『サガ』が好き」じゃなくて、どのタイトルが好きって言う」っていうのがあって。『ロマサガ3』だったり、『サガフロンティア』だったり。たしかにそういうところあるなーって。

「月刊Vジャンプ」にて連載中の石塚祐子によるテレビゲームを題材にしたエッセイマンガ。なんと連載開始は1994年! Dr.マシリトこと現・集英社専務取締役鳥嶋和彦氏や「ジャンプSQ.」初代編集長・茨木雅彦氏など集英社の偉い人がやたらと登場する。

――ちなみにはみ先生は、どのタイトルが一番。

はみ わたしは『ロマサガ3』ですね。

――七英雄のやつでしたっけ。

はみ それ『ロマサガ2』です。『3』は四魔貴族(怒)。

――失礼しました(笑)。最近は、ヴァーチャルコンソールやゲームアーカイブスで昔のゲームが楽しめますが、はみ先生も何か遊ばれたりしますか。

はみ 最近はあんまりですけど、時間あるときは『サガフロンティア』や『ゼノギアス』、あとは『幻想水滸伝』なんかはよくプレイしてましたね。

――本当にあの頃のスクウェアって感じですね。

はみ ヤバいですよね。名作多すぎ。

――そうしたゲームから影響を受けている点とかありますか。

はみ 『ユーフォ』も、その前に連載していた『少女サテライト』もそうなんですけど、群像劇が好きなんですよね。いろんな人がいて、いろんな人の考えがあるっていうのがすごい好きで。ゲームだと、だれに感情移入するかがわりと自由なところがあって、それこそ『FF6』とか自分の好きなキャラクターに感情移入してプレイできるじゃないですか。そういうところは、ゲームから影響を受けているところかも。

――群像劇がお好き。

数多くのキャラクターの想いが交錯する『ユーフォ』。同じ目標を掲げていても、一人ひとりの気持ちは微妙に異なるのだ。

はみ はい。なにげない会話をする時にも、それぞれの立場、考え方があるっていうところが。ちょっと日常会話でもキャラによって言うことが違う。たとえば『ユーフォ』だったら、夏紀先輩ってああ見えてすごい面倒見がよかったり、1年生は自分の主観でしかものが見えてなかったり、自分のことばっかり話すとか。低音パートの2年生は、みんな面倒見がよくって。話もきいてくれるし、気もつかってくれて、意外と突き放さない。あすか先輩は突き放すけど。大事なシーンじゃなくて、ちょっとした会話のなかでそういうキャラ性を描けたらうれしいですね。

――そのために意識されていることとかありますか。

はみ キャラの裏側を考えるということでしょうか。わたし、ゲームの攻略本とか設定資料集が大好きで、ガンガン読み込むんですけど。本編で描かれてないけど、じつは……みたいなのが好きなんです。『少女サテライト』でも描かなかったことがけっこうある気がします。

はみ先生も大好き『ゼノギアス』の設定資料集『Xenogears PERFECT WORKS』。これを読まなきゃ『ゼノギアス』は理解できないくらい、びっしりと設定が書き込まれた一冊。

――キャラへの愛が深いですね。ふだん、マンガを描かれる時は、キャラから作るんですか。

はみ いや、マンガを作るときはお話から作ります。

――これまでのお話からすると、ちょっと意外ですね。

はみ いつもお話のラストが最初に浮かんで、そのあとに最初。「起承転結」でいうと「承転」を考えるのが本当に苦手で。そこをあーだこーだやっているうちに、だんだんキャラへの気持ちが大きくなっていく感じは、ゲームに近いかもしれないですね。それでキャラクターが勝手に動きだしてくれたら、もうだいじょうぶ。『ユーフォ』もだいぶ動いてくれてます。

衝撃的だった細田守監督との出会い

――つづいてアニメのこともお聞かせいただければ。

はみ アニメで、最初に「すごい!」って思ったのは、細田守監督の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』ですね。アニメって、こんなことができるんだって、ものすごいびっくりして。40分しかない映画で、キャラクターの役割だったり、お話の仕掛けだったり、その40分全部が計算されているんです。無駄のないキャラクターが、しかもかわいいキャラクターが動いて、最終的にはものすごく気持ちいのいい終わり方をするって。……もう、すごいなって!

――そういう衝撃的な作品との出会いって、他の作品への見方もかえると思うのですが、やはり『ウォーゲーム』を観た前後で、何か変わりましたか。

はみ そうですね。レウアウトは気にするようになりました。『ウォーゲーム』が、ものすごい緻密なレイアウトの作品で、レイアウトの取り方ひとつで、作品がここまでかわってくるのかって。それまでそういうアニメの見方をしたことがなかったので衝撃的でした。

担当 はみ先生とお話していると、レイアウト含めて、ものすごいアニメのことを細かく観てらっしゃるなって。観ただけで「このシーンの原画はだれ」とかおっしゃいますよね。

はみ 作画オタなので(笑)。

――あとは女児向けアニメがお好きだとお聞きしました。『アイカツ!』や『プリキュア』シリーズなど。

はみ 『アイカツ!』はすばらしいです。見ているとMP回復します。尊いです。最近出てきた新キャラクターの黒沢凛ちゃんが、すごいかわいい。太眉の時代です。太眉、最高にかわいいです。

太眉・勝ち気とはみ先生の好きな要素てんこもりの梓。「ゲストキャラなので、好き放題やらせていただきました」とはみ先生。

――女児向けアニメのどういった点に惹かれているんですか。

はみ 小っちゃい頃から大人が嫌いだったんです(笑)。大人の建て前みたいなものを押しつけられるのが、すごい嫌いだったんですよね。だから子どもの目線の作品が好きなのかな。子どもの世界が好きというか、気持ちに正直なところが。

――さきほどうかがった「子どもの頃、あまり夢を言いたくなかった」っていうのも、そういうところにつながっているんでしょうか。夢を言ったら、大人の理屈であれこれ言われてしまうみたいな。

ついまわりの視線を気にしてしまう久美子。だれにでもある経験だからこそ、久美子の思いは痛いほど胸を打つ。

はみ そうかもしれませんね。『ユーフォ』では、久美子はまわりに流されてしまうことすごく気にしているんですけど、それってすごく共感できて。言いたいことあるんだけど、理屈とか建て前に押しつぶされてしまうっていう。でもそれがいやだから、みんな久美子に共感できるのかなって。

毎週のアニメは緊張!

――そんなアニメ大好きなはみ先生から見て、TVアニメ『響け!ユーフォニアム』はいかがでしょうか。

はみ わたし、演出で入られてる山田尚子さんの演出がものすごい好きなので、アニメを観ていても「山田さんの演出だとこうなるのかー、なるほど」ってひたすら感心しっぱなしというか。これまでも『けいおん!』や『氷菓』、『たまこまーけっと』などで、ずっと女の子を描かれてる方なので、吹奏楽部の練習風景とか、ものすごい細かく描かれてるし、すごいリアル。

――同じ『響け!ユーフォニアム』という原作小説を、はみ先生はマンガ、京都アニメーションさんはアニメという媒体で表現しているわけですが、正直、どんなお気持ちで視聴されてますか。

はみ もちろん楽しくは見てますよ、「うぅ……」ってなりながら(笑)。やっぱり自分も関わらせてもらっている作品なので、無邪気に「キャー!」って感じではないですよね。自分がマンガで描いたシーンは、アニメでどういうふうに描かれているんだろうって。リアルタイムで視聴できなくて、録画で観ようと思うと「よし! 観よう!」って気合が必要ですね。

――当然、原作小説とアニメで異なる部分あるのですが、何か驚かれたこととかは。

はみ じつは、アニメになるにあたって、もっともっと変えてくるのかなって思っていたので、大筋は原作どおりに進むんだっていうのが、逆に驚きでしたね。ただ1話で久美子が吹奏楽部に入るかどうか考えるって、1回帰るじゃないですか。あれすごい、びっくりして。

原作・コミック版では葉月と緑に手を引かれるまま吹部に入部してしまう久美子。序盤からの大きな違いに、驚いた読者も多いはず。

――それはどういったところが。

はみ まわりに流されちゃう自分を変えたいって久美子の思いが、お話の根っこの部分にあるので、そこが変わってるってすごいと思って。わたしアニメの久美子、原作より一歩前に出てくるところ、あと性格悪いところが好きです(笑)。性格悪いのに、チャーミングなんです。久美子役の黒沢ともよさんの声の力ってすごいなって。

――黒沢さんは『アイカツ!』にも出演されてますが。

はみ 『アイカツ!』の時の印象と全然違って、ほんとお若いのにすごいなーって!

――原作装画のアサダニッキ先生が、キャラクター原案を担当した久美子、麗奈、緑輝、葉月、あすか、晴香、秀一、滝先生、松本先生以外は、アニメとコミックでもキャラデザが異なっているのですが、アニメで、はみ先生お気に入りのキャラはいますか?

はみ 優子がすごいよかった! あと夏紀先輩!

――アニメだと原作小説、コミック版以上にその2人のからみが多いですよね。

はみ コミック版でもとても気に入っている2人なのですが、アニメの優子はわりと二次元的なかわいいビジュアルしているじゃないですか。優子は憎まれ役なので、あのかわいらしいビジュアルもっているっているのは、すごいよいなって。いいバランスだなって。

――コミック版の優子もお気に入りとのことですが。

はみ 連載開始から、ひたすら「先輩、マジエンジェル!」っていう回を楽しみにしてました(笑)。あれ、すっごい楽しかったですー。ちょっとネタバレですけど、これから優子にはキツいこと言わせなきゃいけないので「いや、あそこでキツいこと言うけど、香織先輩のことが好きなかわいいこなんだよ」ってことを出したかったんです。

やや暴走気味だけれど、優子の香織に対する尊敬のまなざしは本物なのだ!

――夏紀先輩については。

はみ アニメの夏紀先輩、ポニテが超かわいいんですよね。登場した時は、表情とぼしい描写のキャラなのかなって思ってたんですけど、最近いろんな顔みせてくれるようになったし。コミック版とは、デザインの方向性は違うけど、活発な意志の強いところは変わらないなって。

担当 意志の強い子好きですよね。

はみ 超好き! 夏紀先輩も、ほんと大好きで。一番大人なところがあるっていうか、すごい俯瞰でものが見えている子なんです。いろんなこと、すごい放り投げているようで、じつは気を配れるし、後輩の面倒見もいいし、自分のことも見えているし。たとえば久美子よりも自分のほうが下手ってことにも、感情的になったりしない。悔しくないわけじゃないけど、でも久美子にやさしくできるっていう冷静なところももっているのがすごくいいと思う。夏紀先輩は、あすか先輩をのぞくと作中で一番後輩と接するキャラなんですけど、あすか先輩みたいなリーダーシップや先輩らしさを持ってるわけじゃないど、ちゃんと1年生を見てくれているんです。

最初はちょっとキツい印象だった夏紀先輩だが、久美子たち1年生をやさしく見守るいい先輩。三白眼もキュート!

――コミック版では、ベリーショートな夏紀先輩ですが、なにか理由はあるんですか。

はみ ほかの子とかぶらないためでもあったんですけど、夏紀先輩については、ぱっと見ボーイッシュで、クラスで大人気じゃないけど放課後みかけたら「あれ、じつはあの子かわいいんじゃね?」みたいな。あのショートの子がかわいいって、まわりのやつには、教えてやんないぜ! みたいな気持ちでデザインしました。

――隠れ美少女!

はみ あとわたし、アニメの後藤先輩すごく好きなんですよね。コミック版のほうの後藤先輩も、すぐデザインできて、気に入ってはいるんですけど。

低音パートの静かなる巨人・後藤。縦にも横にもデカい! 口数は少ないが、夏紀や梨子同様、後輩を思いやるよき先輩。

――Twitterでアニメの感想を見ていたら「アニメの後藤先輩イケメンすぎる!」って意見もあったりして(笑)。

はみ あはは、たしかに(笑)。アニメ観ていると、後藤先輩から津田(健次郎)さんの声が出てくるの見て、「イケメンからイケメン声優の声が流れてる!」って。

――いろいろとお話うかがったTVアニメ『響け!ユーフォニアム』も残すところあと2話ですが。

はみ ずっとハラハラしてます。どうなるかって原作読んでいるにもかかわらず(笑)。これからどうなっちゃうんだろうって気持ちがすごいありますね。

――では最後にコミック版を楽しみにされている読者の方へのメッセージをお願いします。

はみ コミック版はコミック版なりに久美子たちの気持ちを描いていければと思っております。原作小説、TVアニメそしてコミック。3つともそれぞれ魅力的な作品だと思うので、違いを楽しんで、いろんな側面を楽しんでいただければと思います。

――はみ先生、ありがとうございました。

※本記事は2015年6月24日に公開されたものを編集し再公開しています

『最終楽章 響け!ユーフォニアム』後編は2026年9/11ロードショー! 全国の映画館で公開!


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