マンガ『ゴールデンカムイ』(野田サトル)ロングレビュー!ヒンナなアイヌグルメを食しつつ、金塊の謎を知る男“のっぺらぼう”を追う!
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話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも! ※2016年の記事を編集し、再公開しています。
今回紹介するのは『ゴールデンカムイ』
『ゴールデンカムイ』著者の野田サトル先生から、コメントをいただきました! 記事の最後に公開しています。

『ゴールデンカムイ』第7巻
野田サトル 集英社
(2016年4月19日発売)

『ゴールデンカムイ』第6巻
野田サトル 集英社
(2016年3月18日発売)
「脱獄囚たちの身体に彫られた入れ墨に、埋蔵金のありかが隠されている」という奇想天外なミステリーを軸に、日露戦争の帰還兵とアイヌ少女の強固な信頼関係、大自然を生き抜くアイヌの知恵とワイルドすぎるグルメ、猛獣たちとの壮絶なバトル、次々に現れては消えるド変態キャラクター……と、おもしろさ全部乗せで読み手を明治30年代の北海道に引きずりこむ『ゴールデンカムイ』。
昨年暮れに発売された本誌「このマンガすごい!2016」オトコ編で2位を獲得したのに続き、3月の「マンガ大賞2016」ではみごと、大賞に輝いた。まさに今、「何かおもしろいマンガない?」と聞かれた際に、即答するにふさわしい鉄板タイトルといえよう。
当然のごとくコミックスは重版に次ぐ重版。この勢いを削いでなるものかと、3月に6巻、4月に7巻と連続リリースされた。
5巻までの流れを少し整理しておこう。アシリパの父の友人・キロランケと出会った不死身の杉元たちは、彼から衝撃的な事実を聞かされる。アイヌの仲間たちを殺して金塊を隠し、囚人に暗号化した入れ墨を彫った“のっぺらぼう”が、死んだはずのアシリパの父だというのだ。
信じられないアシリパは自分の目で確かめるため、“のっぺらぼう”が収監されている網走刑務所まで会いに行くことを決意する。
てなわけで杉元、アシリパ、脱獄王・白石、キロランケの4人は網走へ向けて出発。ちなみに同じ道内とはいえ、小樽から網走までは400キロメートル強(経由地を考慮)。東京から大阪までの行くのと、そう変わらない遠距離である。

一行はまず、小樽からほど近い札幌で武器を調達することに。
6巻では洋風旅館「札幌世界ホテル」を舞台にしたトリッキーなバトルが繰り広げられる。一方、小樽から東へ40キロメートルほどの茨戸では、土方歳三と永倉新八が大暴れしていた(この幕末の亡霊たちもアイヌの金塊を狙っております)。


札幌編と茨戸編を経た最新7巻は、白石がつかんだ情報をもとに日高へ向かう杉本たちにカメラが切りかわる。
日高といえば馬産が有名、その手前の苫小牧では、まさかの競馬編に突入だ。さらに日高では馬を襲う赤毛のモンスターと杉元たちが対峙する。
日高到着時点で網走までは300キロメートルほど。長く険しい道程は、まだまだ続いていく。

序盤におもしろさ全部乗せと書いたが、本作は「冒険(バトル)」「歴史(ロマン)」「狩猟(グルメ)」の3本柱で構成されている。
莫大な金塊と入れ墨に記された暗号を巡る冒険とバトルアクション、新撰組や日露戦争、アイヌを掘り下げる歴史ロマン、さらには雄大な北の大地と海に生息する獣たちとの闘いと、彼らをおいしくいただく狩猟グルメ。
この3つが、それぞれのリズムを持ち、組みあわさることで独特のグルーブを生み出している。
数ページ前まで猛獣と命の削りあいをしていた杉元が、倒した獣の血肉を口に入れ、弛緩した表情で舌鼓を打つ。この緩急こそが、読者に高い中毒性をもたらす要因となっている。

もちろん脳みそもヒンナヒンナとおいしくいただきます(白石の距離感に注目)。
新連載が始まる直前につけられたキャッチは、「生きるとは戦いだ。気高き北の大地でその命の意味を問う」。
3巻でオス鹿を仕留めそこなった杉元に、アシリパはこう言い放つ。
「最後まで責任が持てないなら最初から撃つな」
「私たちや動物たちが肉を食べ、残りは草木となり、大地の命に置き換わる」
「鹿が生きぬいた価値は消えたりしない」
「全部食べて、全部忘れるな!」
「それが獲物に対する責任の取り方だ」。
超ド級エンターテインメントの土台には「生きること。殺すこと。食べること」の根源的な意味を読者に突きつける、ぶっといテーマが鎮座している。
このマンガ、無敵だ。
『ゴールデンカムイ』著者の野田サトル先生から、コメントをいただきました!

著者:野田サトル
「四本目の太い柱があるとすれば、それは「男根」です。
男根の細い、どこに入れたらいいか思い悩むような
中性的で弱い男たちの時代は終わりです。
全裸のたくましい男たちが刺青人皮を奪いあう。
蘇民祭でいうところの麻袋です。
ゴールデンカムイ=蘇民祭です。」
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てライター。
(C)野田サトル/週刊ヤングジャンプ・集英社




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