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『ミステリと言う勿れ』 第1巻 (田村由美) ロングレビュー! 「ミステリと言う勿れ」…これいかに。 その答えは、「語り」で謎と人々の深層心理を暴き出す、カレー大好き天パ大学生にあり!?

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話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!

今回紹介するのは『ミステリと言う勿れ』

『ミステリと言う勿れ』著者の田村由美先生から、コメントをいただきました!

著者:田村由美

著者:田村由美
新作シリーズを読んでいただきありがとうございます! 
今まで描いてきたお話とは若干違うアプローチの仕方でつくってるので、どうなることやらわからないのですが、楽しんでいただけたら幸せです。
第2巻は5月10日頃発売予定だそうです。どうぞよろしくお願いいたします! 
フラワーズ本誌もよろしく!

『ミステリと言う勿れ』 第1巻

田村由美 小学館 ¥429+税
(2018年1月10日発売)

『BASARA』などで知られる田村由美の最新作は、彼女なし・友だちなしの大学生が主人公のミステリーだ。

主人公の名前は久能整(くのう・ととのう)。定期的に美容院に通い、天然パーマが膨らみすぎないように整えている。大学生であること、ひとり暮らしをしていること、友人や恋人がいなくても快適に過ごしているという以外に、彼のバックボーンはほとんど明らかにされていない。

初対面では必ずといっていいほど「整」という名前にものめずらしげな反応をされるが、本人は慣れっこのようで……。

機嫌よくカレーを作っていたある日、整は殺人の疑いをかけられ、複数人の刑事から取り調べを受けることに。

「カレーに弱い」と自認する整だが、なぜか、カレーをつくっていると事件に巻きこまれてしまう。

整は少しもうろたえず(少なくとも、そのようにみえる)、刑事たちが胸に抱えている「痛いところ」を次々いい当て、挑発めいた言葉を吐く。しかし整のひょうひょうとした物腰に、若手刑事たちは少しずつ興味をそそられ、影響を受け始める。整の語る飾り気のない言葉は、ときに残酷に「そこにある事実」をいい当てる一方で、聞き手にとって大きないやしとなることがある。だれもいってくれなかったこと、でもだれかにいってほしかったこと。そういうところを、ずばりといいきってしまうのだ。

整の「なんかこいつスゴイぞ」感に刑事たちが気づき始めた頃、事件は思わぬ展開をみせはじめ……。

殺人の容疑で強面の刑事から取り調べを受けているのに、おじけづく様子をいっさいみせない整。この男、ただ者ではないぞ……!

ついに整は、警察から一歩も出ないままに、真犯人をつきとめる。

整はいう。「真実は人の数だけあるが、事実はひとつしかない」と。客観的な事実はどの角度からみても変わらないが、虐げた側と虐げられた側とでは、まったく違う記憶となる。人間には感情がある。主観をそぎ落とした事実と向きあうのは、ときにとても難しい。

あまり表情豊かとはいえないが、不思議な魅力のある整。周囲の人間も、気づけば整の話に深く聞き入ってしまう。

整がひょうひょうとしているのがいい。正義感も反骨心も感じられないところがいい(実際のところ、彼なりにいろいろあるのかもしれないけれど)。大げさな言葉で人を断罪したりしないところが、とてもいい。

本作のタイトルは『ミステリと言う勿れ』。こんなに傑作の“ミステリ”なのに、このタイトルである。

エピソード2で、整とともにある事件に巻きこまれる「熊田」(直毛)。整とはまた違った雰囲気の彼は、今後の展開のカギを握っていそうな予感……?

サラリと現れてサラリと謎を解く、整のちょっと天邪鬼な存在感に重なるかもしれない。とても素敵なタイトルだと思う。

<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。

©田村由美/小学館フラワーコミックスα


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