【インタビュー】つゆきゆるこ『ストレンジ』男6組12人、されどBLにあらず! カテゴリーに縛られない関係って!?
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人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、つゆきゆるこ先生!
初単行本作品にもかかわらず、その繊細で緻密な人間描写が多くのファンの心をつかみ、見事『このマンガがすごい!2018』でオンナ編第8位にランクインした『ストレンジ』。
表題作を含む6編の短編からなる本作。塾通いの高校生と夢見るゲイ、孤独な図書委員と問題児、サラリーマンとハワイの青年など、普通の生活では交わりそうにない6組12人の男たちが出会うことで、新たな世界が広がっていく―――。
今回は、著者のつゆきゆるこ先生に、本作も分類されることがある「ブロマンス」という新たなジャンルへの考え、さらには2018年刊行の新作『home』『エロティクス・インサイド』についてもおうかがいしちゃいました!
著者:つゆきゆるこ
2014年にアンソロジー『下衆BL 』(リブレ出版)収録の「せまいせかいに」にて、商業誌デビューを飾る。初単行本『ストレンジ』にて、「このマンガがすごい!2018」オンナ編 第8位にランクイン。既刊に『home』(リブレ)、エロティクス・インサイド (竹書房)など。
Twitter:@tsuyuki_yuruco
関係の多様性を感じる新たなジャンル「ブロマンス」
そこにカテゴライズされがちな本作だが……
――連載のきっかけになったという「PRETTY!」では、高校教師と、問題児の生徒が動物好きという共通項で結びあって……。2人の時だけ、栃野くんがふだん表に出さない表情を見せるのがかわいいです!
『ストレンジ』収録作「PRETTY!」より。「先生」と「生徒」という枠組みのなかでしか会話がなかった2人が、「犬」を通じて対等な目線で語りあう。
つゆき ありがとうございます。彼らは、出会わなくても問題なく過ごせたタイプの人たちで、でも出会ったことで、知らなかった自分や、共通の話題で盛りあがれる楽しさを知った感じですね。
――タイトルの「PRETTY!」は、動物に対してではなく、日野田先生と栃野くんがお互いに対して思っていること……でしょうか?
つゆき すべてです。彼らや、彼らの関係、動物や、そんな日々も含めてすべてがかわいい、と思いながらつけたタイトルです。
――精神的な絆や友情の物語を、男性同士にしぼって描くことにしたのはなぜだったのでしょうか。
つゆき きっかけが「PRETTY!」だったこともあって、担当さんが「ブロマンスを描いてください」といってくださいました。もともと私が、男性同士の親密なつながりにときめきを覚えるのもありますが、恋愛だけに括られない、人と人の強い心のつながりというのは、男性・異性・女性同士にかぎらず魅力的なのだと思います。男性同士以外のものも、いつかは描いてみたいです。
――現在、「ブロマンス」という言葉が広まりつつありますが、先生ご自身はこの「ブロマンス」という領域やそれを軸とする可能性をどのようにとらえていますか?
つゆき 「ブロマンス」というものは性的つながりのない親密な友人関係を指しますが、恋愛関係でない人生のパートナー、理解者、深い親密さに「そういう関係があってもいいんだ」という魅力を感じます。結婚しても、しなくてもいい。生涯をともにする友人がいてもいい。男性同士にかぎらず、そうした関係の多様性のひとつを感じることができるジャンルだなと思っています。また、『ストレンジ』は「ブロマンス」としてカテゴライズされていますが、本来はカテゴリーに縛られなくてもいいと思っています。関係のあり方ってひとつに絞れませんし、読んだ方の感じ方を大事にしたいと考えています。
2018年は2冊のBLコミックスが刊行に!
『home』&『エロティクス・インサイド』の見どころは!?
――デビュー単行本だった『ストレンジ』に続き、今年2018年には2冊の新刊が出ましたね。初のBL単行本『home』の、「孤独な男×小犬系男子」は、先生の好きな要素を詰めこんだという感じでしょうか?
つゆき 私の好きな要素でもありますが、担当さんと話して盛りあがったものがかたちになっています。「home」1話のラスト、辰巳が成長した澄晴を抱きしめ「昔からかわいくてしかたがない」と答える部分は、特に描きたいと思っていたシーンです。
――『エロティクス・インサイド』は、完璧な優等生ながら裏のある上影森、チャラく見えて面倒見のいい唐竹のカップルのバランスにまずグッときて。さらに、上影森を取りもどそうとする道生、それを邪魔する和ヶ原の関係も読みごたえがありました。あとがきで「このふたりをもっと描きたくなった」と書かれていましたが、描くご予定は?
つゆき ありがたいことに、スピンオフについては担当さんともお話をしたのですが、今はほかのお仕事を進めている最中なので、未定の状態です。お手紙でも触れていただくことが多いので申しわけない思いもあるのですが、和ヶ原と道生を愛していただけていることがとてもうれしいです。
――『ストレンジ』では、単行本収録の「AFTER」でキャラクターたちのその後がちらりと見られてうれしかったです。今でも、彼らのストーリーをふと考えることはありますか?
つゆき 『ストレンジ』の世界はつながっているつもりでいますので、涼二・本庄と上田野・大滝の高校生組が出会うといいなあと思っています。あとは成人した澄と稔とか、想像が膨らみます。
――ぜひ、いつか描いていただきたいです!
では、最後に読者の方へのメッセージをお願いします。
つゆき 初めて本を手に取ってくださった方も、いつも読んでくださっている方も、本当にありがとうございます。たくさんの方に支えられていることを、日々よく感じています。今後も愛情をこめて描いていきたいと思います!
――ありがとうございました。
©つゆきゆるこ/リイド社











