【インタビュー】鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』 歳の差58歳、おばあちゃんとの友情はBLからはじまった!?
公開:
更新:

12月11日に発売された、『このマンガがすごい!2019』にて、オンナ編第1位に輝いた『メタモルフォーゼの縁側』。
デビューから11年、初の単行本となった今作で鶴谷香央理先生が描いたのは、 75歳になってからBLにハマったおばあちゃんと、BLが好きであることを隠している女子高生の物語。 書店で偶然出会った2人は、BL好きという共通点をきっかけに、年齢の差を超えて気のあう友人に! BL×おばあちゃんという意外性もさることながら、”好きなもの”を通じて育まれる友情の尊さが魅力の本作。 圧倒的指示を得て『このマンガがすごい!2019』オンナ編第1位に!
「コミックNewtype」で連載がスタートするやいなや、SNSなどで話題沸騰となった今作を、本誌『このマンガがすごい!2019』ではレビューだけでなく、全8ページにわたる鶴谷先生のインタビューが掲載中!
そして今回、誌面の関係上、紹介しきれなかったお話を盛りこんだディレクターズカット版として、「このマンガがすごい!WEB」限定で鶴谷香央理先生のインタビューを前後編の2回にわけてお届けします!
全マンガファン注目のインタビュー、後編スタートです!
前編はコチラから。
特別インタビューの全文は『このマンガがすごい!2019』にて大公開!
鶴谷先生による描き下ろしイラストも要チェックだ!
特別インタビューの全文は
『このマンガがすごい!2019』にて大公開!
鶴谷先生による描き下ろしイラストも要チェックだ!
特別インタビューの全文は
『このマンガがすごい!2019』にて大公開!
鶴谷先生による描き下ろしイラストも要チェックだ!
鶴谷香央理
つるたに・かおり 1982年生まれ、富山県出身。2007年『おおきな台所』で第52回ちばてつや賞準大賞を受賞、同作品でデビュー。現在「コミックNewtype」にて『メタモルフォーゼの縁側』連載中。既刊2巻。初連載作『don’t like this』(リイド社)も発売中。
1話の中にも満足感を得られる"読みごたえ"を意識しています
──主人公が世界を広げていく話という意味で、『メタモルフォーゼ』と近い精神性が示されているように思います。
鶴谷 言われてみればそうですね。『don’t like this』の主人公にはモデルがいるんです。ゲームのイラストレーターをやっている友だちで、日々激務でたいへんそうに見えるけど粛々とこなしている。世に名前がバンと出るわけではないけど、仕事している姿がすごくかっこいい、そういう人を主人公にしたかったんです。主人公はうららとは違ってマイペースで、ひとりで行動することに充足感を得ていますが、それはさみしいことではないのでは、というのも描きたいポイントではあります。
──鶴谷先生の絵柄は、あっさりしているけどキャラクターの表情や情感がとても伝わってきますね。
鶴谷 すごく写実的な絵よりもシンプルな線で表現されている絵に「おおっ!」と思うので、自然とそういう方向性を目指していると思います。最近は、スケラッコさんが大好きですね。シンプルな線で、要所要所にベタをパキッと使われたりするのがたまらないです。それから市川春子さんとか……光と影をうまく使ってらっしゃる絵が大好きです。海外のマンガにも、陰影を効果的に使っている作品が多いですね。
──鶴谷先生はカラーもきれいです! 植物の緑にも季節感を感じますね。光を意識しているからこそだと思いますが。

鶴谷 水彩絵の具はまだ苦手なんですけど、好きな絵をまねしてみたりして……。絵本も好きでよく見ますね。表紙は、すごくきれいに仕上げてくださるデザイナーさんの力が大きいです。
初々しいトキメキや感情を、シンプルな線で描出する妙味
──『メタモルフォーゼの縁側』2巻では、2人が初めてイベントに行く様子が丁寧に描かれています。小さい体験を積み上げるトキメキにあふれていますね。
鶴谷 私が最初にイベントに行ったのは、サークル側として出たコミティアで。それはまた別の緊張がありましたけど、Jガーデンのイベントにお客として行った時、ものすごくドキドキしたことを覚えているんです。好きな作家さんのブースを目指す期待感、声をかけていいのやらよくないのやらとかいろいろ考えちゃって、胸がいっぱいになって。そこに来ているものすごい数の人たちが全員そんな想いを抱えているわけなので、熱気がすごいんです! その熱気に圧倒されていました。

──圧倒されつつ、自分もその熱気を出しているわけですよね(笑)。
鶴谷 そうなんですよ(笑)。自分がそこにいてお目当ての作家さんを目指す行動自体が、自分の気持ちを外に向かって出しているということで、それにも緊張していました。2回目以降は、「初めての時、なんであんなに緊張したんだろう?」と思いましたが。
──このくだりを読んでいると、うららのドキドキが伝染してきます!
鶴谷 自分自身の体験がいっぱい入ってるところなので、このシーンはすごく描きたかったところです。
──ほかにお気に入りのシーンはありますか?
鶴谷 2巻で、うららが雪さんに相談しにいったのに、結局その内容をいえないところですね。そういうことが自分にもけっこうあるので。最初に描いたネームでは、うららが口に出していうようにしていたんですが、しっくりこなくて。うららは、そんなふうに思っていることをサラサラしゃべれる人じゃないなと。それで描きかえたんです。

──なるほど。だけど、うららが相談したいことをいえなかったために、雪さんが思いがけないパスを出し、それに触発されるというのが人間関係の妙だなと感じます。

鶴谷 2巻ではほかに、雪さんがコメダ先生の絵が表紙になった雑誌を見つけて「親戚の子に会ったみたいな気分になっちゃって」というセリフが気に入っています。私も、いつもこんな気持ちなので……(笑)。

──雪さんが、「マンガ雑誌に連載されている」というマンガ読みからすれば当たり前のことを自ら発見して、そこに感動する初々しさにグッときてしまいます! こういう喜びを思い出させてくれることも『メタモルフォーゼ』の魅力です。本作へ寄せられた反響で、何か印象的なものがあれば教えてください。
鶴谷 フランスの出版社の編集さんから、「自分の国では年上の人は年下を見下してることが多く、年下は上を面倒臭いと思ってることが多いので、この関係は自分にとって新鮮だった」という言葉をいただきました。これは、文化や環境が違う国ならではの感想で、ハッとしましたね。今までいわれたことがなく、自分が思ってもみない観点からの読み方だったのがうれしかったです。
──趣味を通じて、同世代の友だちからは得られないものを得られる2人の関係に加え、2巻からは、紡と英莉、コメダ先生の周辺も描きこまれ、より先が楽しみです。うららが絵を描き始めたことも……!
鶴谷 ありがとうございます。より親しくなったうららと雪の関係性にも少しずつ変化が現れていくのも見どころになるかと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします!
取材・構成・執筆:粟生こずえ
インタビューディレクターズカット版はここまで!
本作にこめた先生の想いなど、た~っぷりと語っていただいたインタビュー本文は、『このマンガがすごい!2019』に掲載されています!









